令和7年度事業計画
ロシアのウクライナ軍事侵攻から3年を迎えましたが、終息の兆しは無く、また、ハマスとイスラエルの軍事衝突など中東情勢が益々緊迫化を深める中、エネルギーや食糧などの問題が大きくクローズアップされ、国際情勢に大きな影響をもたらしています。
この様な中、昨年6月には全ての農政の根幹である「食料・農業・農村基本法」が制定から四半世紀ぶりに改定されました。
新たな基本法では、世界の食料需給の変動、地球温暖化の進行、我が国における人口の減少等の変化に対応し、①食料安全保障の確保、②環境と調和のとれた食料システムの確立、③農業の持続的な発展のための生産性の向上、④農村における地域社会の維持、等を図るため、基本理念が見直されました。
食品関連分野におきましても、「食料システムの関係者による適正な価格形成の推進」や「食品アクセスを含む物流効率化に向けた法的枠組みの創設」など食料安全保障の確保に向けた具体的な施策が検討されています。
一方、働き方改革に関する法律の施行に伴い、いわゆる物流の「2024年問題」への対応から昨年5月に公布された改正物流効率化法の荷主・物流事業者等への規制的措置についても注視していく必要があります。
この様に、卸売市場を取り巻く環境が想定を超えて変化する中、改正食料・農業・農村基本法における、「食料システム」という新たな概念のもと、地方卸売市場は、生鮮食料品の基幹的な流通システムとして引き続き柔軟に対応して参ります。
1.活動の重点
(1)青果物流通に関する情報収集に努めるとともに、参考となる事例に関して会員へ提供します。
(2)会員の施設整備の予算措置及び交付対象施設・交付率等の充実を国に要望して参ります。
(3)卸売業者の経営体質の強化と市場活性化に向けて支援して参ります。
(4)地域農業の振興を支援し、地域に密着した地場流通の要となる流通モデルの構築に努めます。
(5)円滑な食品アクセスの確保のため、物流の「2024年問題」を始めとする物流環境の課題に関して対応して参ります。
2.恒常的事業の継続実施
(1)全国大会開催事業
生産者と消費者の結節点に位置する卸売市場に課せられた社会的使命を果たすため、新たな大会のあり方を模索する中で、昨年5年ぶりに従来の形式にとらわれない全国大会として熊本で開催しました。
本年度は、昨年の大会の検証を踏まえ、引き続き大会のあり方等について検討して参ります。
(2)調査研修事業
①全青協・市場活性化研究会
卸売市場を取り巻く環境の変化に対応し、卸売市場の活性化・発展方策、経営健全化方策を研究するため、市場活性化研究会を開催します。
②食品等物流業務効率化事業
農産物等の物流におけるパレットの導入を促進するため、生産者・生産者団体、農産物等の流通事業者、物流事業者等の関係者が連携して共同でパレットの利用・管理等を行う取り組みを推進するため、全青協は農産物パレット推進協議会に参画し、より効率的かつ効果的なものに改善すると共に全国的な取組となるよう普及活動を行います。
③全国地方卸売市場等青果卸取扱高調査事業
地方卸売市場の経営の実態等を把握する基礎資料とするため、昨年度に引き続き、株式会社農経新聞社と共同で青果卸売会社の取扱高について調査を実施します。
(3)情報化推進事業
青果物取引の情報化を推進し、取引の迅速化、事務処理の合理化を図り消費者ニーズに即した新鮮で多様な青果物を安定的に供給します。
①青果物流通情報処理協議会(全国農業協同組合連合会)及びベジフルネット利用者協議会(同)
青果物流通情報処理協議会に参画し、卸売市場取引において日々発生する出荷情報や売立て・仕切情報の交換、受発注、代金決済など、電算処理の合理化に資するための青果物統一品名コードの設定を行います。
また、ベジフルネット利用者協議会に関して、昨年から5年に一度のシステム改修が検討されていることから、引き続き、検討委員会(全青協委員1名)、理事会(全青協選出理事2名)に参画し、検討状況を踏まえて、ベジフルネットの第5期システムの円滑な推進とともに、第6期システム開発の検討が円滑に取り進められるように対応します。
②生鮮取引電子化推進協議会
生鮮取引電子化推進協議会(公益財団法人食品等流通合理化促進機構)は、生産から卸、仲卸、小売までを含めた流通全体の情報化を推進するため、設定した青果共通商品コードやEDI標準メッセージに、青果物流通情報処理協議会の青果物統一品名コード等をベースに採用していることから、生鮮取引電子化推進協議会との連携を密にして青果物流通全体の取引の迅速化、事務処理の合理化を推進します。
③全青協ホームページの維持管理
青果物統一品名コード、機関誌の発行情報、総会・理事会の開催、研究会の報告等、全青協の動きを適時発信します。
(4)卸売市場調査研究助成事業
会員が卸売市場の活性化等に関する委員会、検討会、研究会の開催、及び卸売市場の役職員の資質の向上を目的とした勉強会、研修会、講演会の開催、並びに消費者等を対象として行う食のイベント、表示等に関する講演会、市場と市民の交流会等の開催に要する経費の一部を助成します。
(5)機関誌刊行事業
卸売市場の取引の適正化、経営の健全化等に関する取組を促進するため、卸売市場の近代化、青果物流通の近代化に関する情報等を内容とする機関誌「全青協」を発行します。
(6)福利厚生事業
①卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、労災上乗せ補償制度への加入促進及びグループ保険・団体総合生活補償保険への加入促進に努めます。
②確定拠出年金制度(DC)については、平成28年10月1日から全青協を代表事業主として制度運用を開始し、平成30年10月から個人が掛け金を設定できるマッチング制度も導入しました。
今年度も引き続き適正な運営に取り組むと共に、卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、加入促進に努めます。
3.その他の事業
(1)市場近代化事業
①卸売市場施設整備に係る融資制度
卸売市場施設及び卸売業者の業務の近代化、並びに卸売市場の機能高度化を図るために必要な施設整備について、株式会社日本政策金融公庫食品流通改善資金等の活用について支援します。
②食品等流通合理化計画の策定支援
会員傘下の卸売市場が、公益財団法人食品等流通合理化促進機構の「食品等流通合理化緊急対策事業」(リース方式等による設備・機器の導入に対し、利息額の2/3を軽減等)を活用して卸売市場の近代化を行う場合には、事業実施に必要な「食品等流通合理化計画」の農林水産大臣の認定に関して支援します。
(2)食品産業優良企業表彰事業
会員傘下の卸売市場が、公益財団法人食品等流通合理化促進機構の実施する「食品産業優良企業表彰事業」に申請する場合には、必要な推薦書の作成、受賞申請等を支援します。
4.その他
(1)改正食料・農業・農村基本法に関する、「合理的な費用を考慮した価格形成」及び「持続的な食料システムの確立」に向けた関連情報の収集に努め、会員企業への情報提供を行います。
(2)改正物流効率化法に関する、荷主・物流事業者等への規制的措置についての情報の収集・発信に努めます。
過去年度の事業実績
以下のリンクよりご覧ください。[pdfファイル]