令和8年度事業計画
ロシアのウクライナへの全面侵攻は5年目に入り、また、ハマスとイスラエルの軍事衝突が3年目を迎える中、今年1月アメリカがベネズエラへ軍事介入、2月にはイスラエルとイラン攻撃を開始するなど、国際情勢が益々緊迫化を深める中、エネルギーや食糧などの問題が近年になく大きくクローズアップされています。
これら地政学的リスクが高まる中、物流においては、トラックドライバーの時間外労働制限に関する輸送能力不足の懸念に加え、原油市場の変動に伴うガソリン価格等の高騰による輸送コストの上昇が新たな問題として危惧されています。
また、食料安全保障を基本理念の一つに掲げ「食料・農業・農村基本法」が一昨年四半世紀ぶりに改定・施行されましたが、これを受けて食料供給の未来を公共の視点で守ることを目的として、昨年6月「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律(略称:食料システム法)」が成立、4月1日から全面的に施行されました。
この様に国内外の政治経済情勢や国際的な食料需給の変動、円安やインフレ懸念を背景に、卸売市場は単なる生鮮食料品取引の場から、地域の食料拠点として食料の安定供給のための機能強化が一層求められています。
新たな法制度の枠組みの下、取引慣行の見直し、物流・供給網の効率化、環境負荷低減の取り組みなど、卸売市場は食料システム全体の持続性と強靭性の確保に向けた変革期にあります。
1.活動の重点
(1)青果物流通に関する情報収集に努めるとともに、参考となる事例に関して会員へ提供します。
(2)会員の施設整備の予算措置及び交付対象施設・交付率等の充実を国に要望して参ります。
(3)卸売業者の経営体質の強化と市場活性化に向けて支援して参ります。
(4)地域農業の振興を支援し、地域に密着した地場流通の要となる流通モデルの構築に努めます。
(5)新たな食料システム法や物流問題などに関して対応して参ります。
2.恒常的事業の継続実施
(1)全国大会開催事業
生産者と消費者の結節点に位置する卸売市場に課せられた社会的使命を果たすため、新たな大会のあり方を模索する中、一昨年(令和6年)10月に6年ぶりに従来の形式にとらわれない全国大会として熊本で開催しました。
本年度は、前回開催から2年目を迎えることから、開催の方向で調整して参ります。
(2)調査研修事業
①全青協・市場活性化研究会
卸売市場を取り巻く環境の変化に対応し、卸売市場の活性化・発展方策、経営健全化方策を研究するため、市場活性化研究会を開催します。
②食品等物流業務効率化事業
農産物等の物流におけるパレットの導入を促進するため、生産者・生産者団体、農産物等の流通事業者、物流事業者等の関係者が連携して共同でパレットの利用・管理等を行う取り組みを推進するため、全青協は農産物パレット推進協議会に参画し、より効率的かつ効果的なものに改善すると共に全国的な取組となるよう普及活動を行います。
③全国地方卸売市場等青果卸取扱高調査事業
地方卸売市場の経営の実態等を把握する基礎資料とするため、昨年度に引き続き、株式会社農経新聞社と共同で青果卸売会社の取扱高について調査を実施します。
(3)情報化推進事業
青果物取引の情報化を推進し、取引の迅速化、事務処理の合理化を図り消費者ニーズに即した新鮮で多様な青果物を安定的に供給します。
①青果物流通情報処理協議会(全国農業協同組合連合会)及びベジフルネット利用者協議会(同)
青果物流通情報処理協議会に参画し、卸売市場取引において日々発生する出荷情報や売立て・仕切情報の交換、受発注、代金決済など、電算処理の合理化に資するための青果物統一品名コードの設定を行います。
また、ベジフルネット利用者協議会に関して、一昨年から5年に一度のシステム改修が検討されていることから、引き続き、検討委員会(全青協委員1名)、理事会(全青協選出理事2名)に参画し、検討状況を踏まえて、ベジフルネットの第5期システムの円滑な推進とともに、第6期システム開発の検討が円滑に取り進められるように対応します。
②生鮮取引電子化推進協議会
生鮮取引電子化推進協議会(公益財団法人食品等持続的供給推進機構)は、生産から卸、仲卸、小売までを含めた流通全体の情報化を推進するため、設定した青果共通商品コードやEDI標準メッセージに、青果物流通情報処理協議会の青果物統一品名コード等をベースに採用していることから、生鮮取引電子化推進協議会との連携を密にして青果物流通全体の取引の迅速化、事務処理の合理化を推進します。
③全青協ホームページの維持管理
青果物統一品名コード、機関誌の発行情報、総会・理事会の開催、研究会の報告等、全青協の動きを適時発信します。
(4)卸売市場調査研究助成事業
会員が卸売市場の活性化等に関する委員会、検討会、研究会の開催、及び卸売市場の役職員の資質の向上を目的とした勉強会、研修会、講演会の開催、並びに消費者等を対象として行う食のイベント、表示等に関する講演会、市場と市民の交流会等の開催に要する経費の一部を助成します。
(5)機関誌刊行事業
卸売市場の取引の適正化、経営の健全化等に関する取組を促進するため、卸売市場の近代化、青果物流通の近代化に関する情報等を内容とする機関誌「全青協」を発行します。
(6)福利厚生事業
①卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、労災上乗せ補償制度への加入促進及びグループ保険・団体総合生活補償保険への加入促進に努めます。
②確定拠出年金制度(DC)については、平成28年10月1日から全青協を代表事業主として制度運用を開始し、平成30年10月から個人が掛け金を設定できるマッチング制度も導入しました。
また、本年4月からは、マッチング拠出の掛金額を事業主掛金額以下とする制度が撤廃されました。
今年度も引き続き適正な運営に取り組むと共に、卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、加入促進に努めます。
3.その他の事業
(1)市場近代化事業
①卸売市場施設整備に係る融資制度
卸売市場施設及び卸売業者の業務の近代化、並びに卸売市場の機能高度化を図るために必要な施設整備について、株式会社日本政策金融公庫食品流通改善資金等の活用について支援します。
②食品等流通合理化計画の策定支援
会員傘下の卸売市場が、公益財団法人食品等持続的供給推進機構の「食品等流通合理化緊急対策事業」(リース方式等による設備・機器の導入に対し、利息額の2/3を軽減等)を活用して卸売市場の近代化を行う場合には、事業実施に必要な「食品等流通合理化計画」の農林水産大臣の認定に関して支援します。
(2)食品産業優良企業表彰事業
会員傘下の卸売市場が、公益財団法人食品等持続的供給推進機構の実施する「食品産業優良企業表彰事業」に申請する場合には、必要な推薦書の作成、受賞申請等を支援します。
4.その他
(1)農林水産省を始めとした関係省庁からの情報を的確に把握し、会員への迅速な情報共有に努めます。
(2)一般社団法人全国中央市場青果卸売協会等の関係団体との連携を強化し、卸売市場の役割りについて、消費者理解の促進に努めます。
過去年度の事業実績
以下のリンクよりご覧ください。[pdfファイル]
